大腸ポリープ切除

大腸ポリープとは

大腸粘膜の一部分が盛り上がったり、へこんだりしてできる腫瘍を、大腸ポリープと言います。イボのように隆起したものが多く、大きさは1mmから数cmまで大きくなるものまであります。
大腸ポリープは、腫瘍性と非腫瘍性とに区別されます。非腫瘍性には、炎症性ポリープと過形成性ポリープとに分けられます。大腸ポリープのほとんどは、大腸腺腫という良性腫瘍です。大腸がんは、そのほとんどが大腸腺腫ががん化したものですが、大腸腺腫ががん化してもすぐに進行がんにはなりません。初期段階であれば、早期大腸がんとして大腸ポリープ同様、内視鏡手術で切除治療できます。

ポリープは小さいと無症状かも!?このような症状ありませんか?

  • ポリープは小さいと無症状かも!?このような症状ありませんか?血便がある
  • 便潜血検査が陽性だった
  • 腹痛や下痢がある
  • 腹部膨満感がある

ポリープがあるとよく見られる症状は血便です。
ただし、ポリープが小さい場合は無症状のことが多いです。

大腸ポリープが出来やすい人は?

  • 大腸ポリープが出来やすい人は?家族に大腸ポリープや大腸がんの人がいる場合
  • 高血圧、脂質異常症、糖尿病のある人
  • お酒をよく飲む人
  • 動物性たんぱく質・脂質の多いの食事が好きな人
  • 喫煙者
  • 50歳以上の人 など

一般的に上記に当てはまる方は、大腸ポリープができやすい傾向にあります。

大腸ポリープや大腸がんの原因

大腸ポリープができる要因の1つとして、食生活の欧米化があり、動物性たんぱく質・脂質の多い食事習慣が指摘されています。
また、40歳以上になると大腸ポリープができやすいと言われています。
大腸ポリープは、そのまま放置することで大腸がんに進行する可能性があるため、注意が必要です。
特に以前に大腸ポリープができたことがある方や、ご家族に大腸がん罹患者がいる方、高血圧や糖尿病などの持病がある方、運動習慣がなく肥満傾向の方などは、大腸ポリープができやすいとされています。また、特殊なケースとして家族性大腸腺腫症が挙げられます。これは、若いうちに大腸ポリープができて、次第にポリープの数が増え、最終的に100個以上のポリープが発生してしまう病気です。家族性大腸腺腫症は遺伝性が強く、この疾患が疑われた場合は専門の医療機関をご紹介しております。

大腸ポリープを放っておくと大腸がんへ進行する事も

大腸ポリープは、大腸がんへ進行する可能性が大きいとされています。特に、非腫瘍性の過形成性ポリープのうち、上行結腸や横行結腸にできるポリープや大きいポリープなどはがん化するリスクが高いと言われています。いずれも、早期に大腸カメラ検査でポリープの状態で発見できれば、大腸がんを防ぐことが可能です。

大腸ポリープの検査・診断

大腸ポリープのスクリーニング検査として、便潜血検査を行うことが多いです。便中の血液の有無を調べられます。
便潜血検査が陽性だった場合は、精密検査として必ず大腸カメラ検査を行う必要があります。
大腸カメラ検査では、何らかの病変が見つかった場合は、その場で組織の一部を採取して生検にかけることができます。また、大腸カメラ検査は確定診断が可能です。大腸ポリープが直径5mm以上だった場合で5%強、20mm以上の場合で50%以上の確率で大腸がんが見つかります。大腸カメラ検査を行うことで、大腸ポリープを早期に発見でき、大腸がんの予防に繋がります。
大腸ポリープについて気になる症状がある方は、一度大腸カメラ検査を行うことをおすすめしております。

大腸ポリープは必ず切除するべきか

大腸ポリープは、腫瘍性と非腫瘍性があります。そのうち、腫瘍性は切除治療が必要です。
大腸カメラ検査で、粘膜構造や形態を詳細に観察することで、両者を見分けることができます。
大腸がんのほとんどはポリープががん化して増大することで発症します。腫瘍性の腺腫は、放置して大きくなるとがん化するリスクが高いため、早い段階で切除治療することで大腸がんを予防できます。

大腸ポリープを放っておいている方へ

小さいポリープが見つかってまだ治療せずに経過観察中の方も、定期的に大腸カメラ検査を行うことをおすすめしております。「クリーン・コロン」と言って、大腸の中に大腸ポリープが1つもない状態を維持することが、大腸がんの予防に繋がります。

日帰りでの大腸ポリープ切除

当院では、大腸ポリープを切除したその日に帰宅していただける、日帰り手術を実施しております。
入院の必要がないため、休みの確保や準備などのご負担が少ないというメリットがあります。ご帰宅後翌日からは、約1週間は食事や行動などに多少の制限がありますが、ほとんど通常通りに生活を送ることができます。
ただし、ポリープの大きさや数によって、入院加療が必要となる場合があります。その場合は、連携する高度医療機関をご紹介しております。

ポリープ切除の手法

ポリープの切除は、内視鏡スコープの先から出るスネアをポリープに引っ掛けて切除します。切除方法の種類は、以下の通りです。回収したポリープは、病理検査に出すことで確定診断できます。

ポリペクトミー

ポリペクトミーは、大腸ポリープ切除手術で最も一般的な手術方法です。ワイヤー状のスネアでポリープを引っ掛けて、高周波電流にて焼き切ります。電気メス同様の止血効果があります。ただし、熱が皮膚下層におよび、術後に出血または穿孔を起こすリスクがあります。

コールドポリペクトミー
スネアでポリープを引っ掛けながら締め付けて切除します。切除時に出血がみられますが、すぐに止血するケースがほとんどです。
熱を用いないため、術後の出血や穿孔が起こるリスクを大幅に減らすことができます。
当院では、コールドポリペクトミーを主に用いて切除手術を行っております。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
平坦なポリープの場合、スネアを引っ掛けることができないため、内視鏡的粘膜切除術を行います。
隆起剤として、ポリープ下層に生理食塩水を注入することでポリープを持ち上げます。持ち上がったポリープにスネアを引っ掛けて焼き切ります。生理食塩水があることによって熱が下層に伝わらないため、安全に焼き切ることが可能です。

大腸ポリープ切除前後の注意点

大腸ポリープ切除前までの注意点

抗凝固薬や抗血小板薬などを服用中の方は、事前に必ず医師にお申し出ください。
血液が止まりにくくなる作用がある薬剤のため、切除には服用を休止していただく必要があるものありますので、必ず申し出てください

大腸ポリープ切除後の注意点

大腸ポリープの切除後は、出血や合併症を起こす恐れがあります。ポリープを電気焼灼することで潰瘍ができます。切除後はクリップ縫縮を行うこともありますが、腹圧がかかったり、腸管を内容物が通過により、出血や穿孔が起こることがあります。合併症は術後7日ぐらいまでに起こりやすく、稀に合併症が起こった場合は手術や入院治療が必要になることがあります。

合併症を防ぐために、以下の点に注意してお過ごしください。

  • 手術当日は入浴は控え、シャワーで済ませます。翌日からは入浴できます
  • 手術後1週間は激しい運動や腹圧のかかる姿勢や作業は控えてください
  • 手術後1週間は車の運転、遠距離の旅行、飛行機の利用を控えてください

大腸ポリープ切除後の食事

大腸ポリープ切除治療後、約1週間は消化のよい食べ物をお摂りください。
特に、手術当日から翌日にかけてのお食事はご注意ください。また、手術後3日から1週間は禁酒してください。切除後に適したお食事は、以下の通りです。

  • 白米、おかゆ、卵粥
  • うどん、そうめん(薬味なし)
  • おにぎり(海苔なし)
  • 豆腐、納豆など
  • 煮魚、刺身、焼き魚など
  • 味噌汁(海藻類なし)
  • 食パン など
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